【リアルアーティストライフのススメ】北海道でエレクトロニカレーベルを運営するプロのバレエダンサー

呼吸法を指導してくれている先生は
リアルアーティストのライフスタイルを
体現している希有な人物だ。

北の地、札幌で1600gという
未熟児で産まれた彼は、3歳まで
発語もなく立つ事すらできなかったという。

お父さん、お母さんがいろいろな
取り組みをしたようだが、
なかなかうまくいかなかった。

そんな彼に転機が訪れる。

かかりつけの産婦人科医の院長夫人が
開催していた幼児向けの
バレエダンススクールに参加し、
バレエを始めることで発育が
どんどんよくなっていったのだ。

「これならいけるかもしれない!」

そう感じたお母さんは、
バレエを続けさせる。
(男の子でバレエをやっていたので、
学校ではイジメられていたんだとか)

3歳からずっとバレエを続け、
13歳でプロのダンサー養成スクール
でレッスンを受けるため
単身ロンドンへ留学する。

13歳でロンドンに行き、
30歳までの17年間、
1度も日本に帰ることなく
バレエに打ち込むというからすごい。
(親や友人から離れ、ロンドンで
17年間も過ごしていた)

プロのバレエダンサーとして
活躍していた彼に、
2度目の転機が訪れる。

命を危険にさらしてしまうほどの
大きな交通事故に遭うのだ。

一命をとりとめたが、
クビから下が動かないという
大けが。

1年間、車いす生活を送ったという。

そんな彼が取り組んだことは、、、

クビから下しか動かなくてもできること。

そう、呼吸だ。

彼はこの事故をきっかけに、
呼吸のトレーニングを独自で編み出し、
ヨガやピラティスなどの研究も加えて、
いま、多くの人たちに伝えるまで
メソッドを確立させた。

クビから下しか動かない状態から
先生になるまで回復・改善したのだ。

そして、いま、トレーナーとして
彼の経験に裏付けされた呼吸法を
伝授してくれている。

それだけではない。

呼吸法やカラダの使い方
といった指導だけでなく、
幅広い活動をしている点が
リアルアーティストだ。

札幌で北欧エレクトロニカ系の
レーベルを運営し、アーティストを
支援していたり、本気で世界を目指している
アーティスト向けで、ノルマなしで
ライブ等のできるイベント会場を
提供したりしている。

他にもNPO法人を手がけたり、
資料館を1週間貸し切って、
クリエイターの作品を展示する
催しものをしたり、茶道の先生をしたり、
幻の日本酒の製造なんかも
手がけたりしている。

ひとつのことでなく、
多岐に渡って活動している点が
リアルアーティストと言えるだろう。

専門家ではなく、何でも屋になろう、、、
そんなメッセージを思い出してほしい。

ガチガチの専門家は淘汰され、
柔軟な何でも屋が支持される時代なのだ。

リアルアーティストのライフスタイルは
彼のようにひとつのことに囚われないで
幅広く活動していくことにある。

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2013年8月10日 | コメント/トラックバック(0) |

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【リアルアーティストライフのススメ】アーティストの死

今回のロックの日の企画に
プレゼンテーターとして参加してくれる
友人のケンタローくんと打ち合わせしていたときのこと。


「島田さん、最近『時間』に関していて

 ふと思ったことがあって
 調べてたのですが、
 『時間』には2種類あるみたいなんです。」


という興味深い切り口で

話をもってきてくれた。

この2種類の時間に関して、
僕はエリアーデの

聖なる時間・俗なる時間

を思い浮かべたが、、、違った。
(もちろん通ずる部分はあるが)

ケンタローくんが持ってきてくれたのは、
カイロスとクロノスという概念である。

カイロスはギリシア神話で
「一瞬」を表す神であり、

クロノスは
「連続した時」を表す神。

つまり、同じような時間を過ごしていても、
カイロス的な時間意識というのは
一瞬一瞬であり、
クロノス的な時間は
直線的な感じ方なのである。


ハイデガーの「いまここ」

ラテン語で言われる「メメント・モリ」
古代ローマ ホラティウスの詩「カルペ・ディエム」


これらは、全てカイロス的な時間を

感じて生きることを意味している。

そして、リアルアーティストの在り方である。

僕はバンドメンバーに対して、
このカイロス的な時間の捉え方を
よくライブ直前などで話す。

それは、、、


僕らは何度も演奏している

曲かもしれないけど、
お客さんにとっては
初めてかもしれない


ということだ。

クロノス的な時間意識で、、、
つまりいつも普段の延長上でついつい
演奏をしがちだが、リスナーにとっては
カイロス的な時間を
感じているかもしれない。

僕らは100回演奏し続けた曲
かもしれないが、
お客さんにとっては
1回目かもしれないし、
とても特別な時間かもしれないのだ。

僕が言いたいのは、、、

曲を聴いているリスナーが主人公であり、
スポットライトを当てるということを
アーティスト側が意識する必要がある
ということだ。

こう考えると、発信されるコンテンツは

リスナーのものであり、
表現者のものではないのか

と、思うかもしれない。

そう、リスナーの
カイロス的な時間のために、
アーティストは作品から「自分」を
排除しなくてはいけない。

作品を完成させればさせるほど、
そこからアーティストは消えていき、
死へと向かう。

そういう風にも捉えられるだろう。

しかし、ここには議論の余地があるので、
7月6日のイベント

「コンテンツは日本を救うのか?」

でディスカッションしたいと思う。

リアルアーティストの在り方として、
時間や作品との向き合い方を
問われるからだ。

あなたはどう考える?

 

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2013年6月5日 | コメント/トラックバック(0) |

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【リアルアーティストライフのススメ】カセットテープ専門レーベル

ゴールデンウィークに
ある音楽イベントに行った時のこと。

とあるインディーレーベルオーナーと
話す機会があった。

彼は僕が知る限り
日本でも10本の指に入るほどの音楽マニア
で、持っているレコードやCDの数も異常だ。

よく

「CDを何枚もってる?」

なんていう会話は日常で耳にすることも
あるだろうが、彼の場合の回答は、

「うーん、あそこからここまで」

といった感じだ。。

つまり、持っているCDとか
レコードの単位が

「数」ではなく、「距離」

なのである。

もちろん、それだけ量が多い
という意味であるが、
量が多すぎて、部屋が傾いてしまった
というエピソードもあるほどだ。

持っている量を「数」ではなく「距離」や「重さ」で
表現せざるを得ないことに異常さを感じるだろう。

で、この音楽マニアのレーベルオーナーと
世界の音楽事情に関していろいろ意見交換をした。

そのときに興味深かった話は、、、

最先端のコンテンツ媒体はカセットテープであるということ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

である。

え?カセット?と思うだろうが、
そうあのカセットである。

CDなんて時代遅れ、
今はダウンロードでしょ?
iTunesもあるし、、

というのはふつーである。

海外では、

レコード+ダウンロード音声

というリリース形態もけっこう多いらしいが、
これも彼に言わせれば
ふつーである。

彼曰く、今の最先端は、なんとカセットテープ。

しかも、ダウンロード版のない作品もあるのだとか(笑)。

実際に海外では、
カセットテープばかりリリースしている
インディーレーベルがあるらしく、
300本リリースすると、
あっという間に
200本くらいは捌けるのだとか。

で、毎日のように新作がリリースされ、
どんどん売り切れていく。

音楽マニアのカセットテープ市場が
出来上がりつつあり、
ひそかにブームなのだ。

で、実はこういった情報は
日本にはほとんど入ってこない。

検索してみたが、日本語で
このカセットレーベルのことを
解説しているサイトはひとつもなかった。

しかし、敏感なアーティストは、
すでにこういう誰もいない方向に
進んでいるのである。

この音楽マニアのレーベルオーナーも
言っていたが、
今の日本の音楽市場の8割はAKB。

それにジャニーズを足して、
アイドルだけで9割ほどと
なっているのが現状だ。

では、僕らみたいなアーティストが生き残る道は…

そう、そこには世界のマニアックな
アーティストがカセットテープでリリースして、
見えないブームを起こしている
というところにヒントがある。

未開拓なことにチャレンジする
パイオニアスピリットを
持つものこそがリアルアーティスト
ではないかと個人的には思っているので、
いまのメインストリリームに対して、
どういう立ち位置をとるかが
重要になってくるだろう。

あなたはどう思うだろうか?

ぜひあなたなりに考えて、
今後の活動の参考にして欲しい。

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2013年5月20日 | コメント/トラックバック(0) |

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【リアルアーティストライフのススメ】ナポリのスーツ

1年ほど前に僕がフルオーダーしたナポリのスーツが
ついに出来上がった。

ジャケットを創ってくれたフェリーチェ・ビソーネは
ナポリを代表するサルト・フィニート。

漫画「王様の仕立て屋」にも登場する伝説のサルト
と言われるロベルト・コンバッテンテの愛弟子である。

将来、博物館に飾られていてもおかしくない
作品をつくっていると賞賛されるほどの仕事ぶりで、
僕が言うのもおこがましいが、とても美しい。

仕立てそのものも美しいし、
仕事に対する姿勢も美しい。

まさに真の芸術である。

フェリーチェは物心ついた時から
現在まで仕立て職人として生きてきた。

自身では一切、営業活動をせずに朝から晩まで
つくり続ける。

文字通りプロフェッショナルな職人。

特定のパターンの型紙を使用せず、いきなり生地に
フリーハンドで線を引き、裁断、仮縫いとして
仕上げて、顧客にモディファイしていく。

同じことをできる人間はこの世に彼以外存在しないだろう。

スキルも素晴らしいが、特に学ぶべきは
その愚直な姿勢だと僕は思う。

現在、70歳くらいらしいが物心ついた小さな時から、
現在まで、ひたすら仕事をしているのだ。

元々、家が貧しくて仕方なかったのかもしれない。

もしかしたら始めは嫌だったかもしれない。

しかし、彼は愚直に自分の仕事を続けているのだ。

ついつい日本にいるといろいろな誘惑があり、
目移りして、手を伸ばしたくなりがちであるが、
そんなときはフェリーチェの在り方を思い出す。

彼は自分に与えられた仕事を徹底的に追及し、
唯一無二の作品を生み出し続けている。

まさにリアルアーティスト。

ちなみに、サルト・フィニートというのは
「全ての修行を終えた職人」という意味で、
ほんの一握りの職人しか手にすることのできない称号だ。

目安として、徒弟時代も含めて最低でも
40年はかかるということ。

要するに、サルト・フィニートの称号を得るためには、
最低でも40年間、つくり続けなくてはいけないという
かなり狭き門である。
(もちろん評価されなければ称号は得られない)

しかも、ジャケットとパンツでは作業が異なるので、
物理的に両方のサルト・フィニートの称号は得ることができない。

単純に寿命が足りないのだ(ふたつで最低でも80年はかかるので)。

だから、僕がオーダーしたスーツも、
ジャケットはフェリーチェがつくっているが、
パンツはまた別な職人がつくっている。

プロフェッショナルの在り方を体感させてもらい、
アーティストの在り方を考えさせられる。

我々はホンモノに触れてこそ、
リアルアーティストのライフスタイルに
一歩一歩近づいていくのものだ。

ぜひ、みなさんもその道の一流に触れて、
自分だけのリアルアーティストライフを
切り開いていって欲しい。

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2013年4月12日 | コメント/トラックバック(0) |

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