ボーカルのスキルを向上させる秘訣

私達Shinrishは、ボーカルスキルを向上させるために最も重要視しているポイントがボーカリストは、声を出して歌うという考え方ではなく、ボーカリストは「身体」という楽器を操るという考え方を大切にしているということです。

ボーカリストは「身体」という楽器を操るミュージシャンである。

身体を「鍛える」とか「操る」と聞けば、ほとんどの人は運動選手やインストラクターなどの一部の職業の人たちのためだけに必要なことだと考えられてしまっているように感じます。まるで「餅屋は餅屋」という言葉に代表されるように、身体の使い方がさほど音楽活動に関係ないように捉えられてきてしまっているのです。しかし、殊にボーカリストにとっては身体そのものが音を出す楽器となるわけですから、「身体をどう操るか」、ということは避けては通れない問題なのです。

医学の発展をアーティストのパフォーマンス向上に応用

では「身体を操る」とはどういうことなのでしょうか。身体というものを歴史的にたどってみると、医学にたどり着きます。もともと医学というのは身体の構造(解剖)や病気の仕組みの解明、疾病の治療等に役立てられており、日本では安土桃山時代から西洋医学が輸入され、現代まで脈々と受け継がれてきています。

科学が発展するにつれ、医学はどんどん複雑化していき、循環器学・消化器学・呼吸器学・生理学・解剖学・心理学・精神医学・運動学等、数えきれないほどの分野に細分化されてきました。そうした進歩のおかげで、昔は生命の維持を主に扱っていたものが、今では健康や運動選手の記録向上、果てはアーティストのパフォーマンス向上にまで応用することが可能となりました。

運動学は運動選手のためだけではない。

ドイツ体育大学教授のクルト・マイネルの「スポーツ運動学」(1960)ではスポーツだけでなく、様々な観点から運動を解説しています。私たちがこの身体を使って活動している以上、日常生活、労働、スポーツ、芸術全てに関わるとしており、子供の体力から老人の健康にまで影響することを説明しています。

したがって全ての分野において、質を高め「一流」になるためには、身体運動を視野にいれなければならないと考えるべきでしょう。

身体運動の分野はどんどん発展しています。しかし現代人の身体は…。

近年、身体にまつわる科学が発展する一方で、現代人の体はどんどん退化していっています。信じられないことですが、例えば江戸や明治時代の飛脚は荷物を担いで東海道を1日100㎞以上走ったといわれますし、武士も今の運動選手よりもはるかに運動能力が高かったと伝えられています。私たち一般人―特に子供の世代―に関しても体力・運動能力は顕著に低下してきています。

その背景には、移動手段の発達を始めとして、ほとんど身体を動かさなくても生活ができるようになったことに由来するでしょう。蛇口を捻れば水が、電車に乗ればほとんど歩かずに仕事場に到着するわけです。一日の大部分をパソコンの前で座ったまま過ごしても、不自由なく生活をすることができます。こうした日常生活における運動不足が私たち現代人の体のポテンシャルをどんどん下げることとなったのです。

音楽家のための「身体」のこと。

音楽家にとってもそれは例外ではありません。運動能力、と聞くとまるで飛んだり跳ねたりすることを想像するかもしれませんが、立つこと、呼吸すること、歌うこと、全てに身体と運動は関わってくるのです。したがって、身体の使い方や柔軟性、左右のずれといった要素は、仕事や創作活動の質にも当然影響してきます。

最近では、例えば介護業界の世界でヘルパーのための古武術が応用されるなど、身体の重要性が少しずつ説かれるようになってきました。幸いなことに、音楽業界でも「音楽家なら~」といった書籍に代表されるように、関心が寄せられるようになってきました。ストレッチングから、自分の身体の構造を把握する「アレクサンダーテクニーク」といった理論まで、たくさんの考え方が音楽業界にも進出してきました。しかし、残念ながら多くのミュージシャンがそのような世界すら知らない、というのが現状のようです。それどころか酒・煙草の摂取や徹夜での活動など、身体に悪影響になることを行っている人も少なくないでしょう。

今こそミュージシャンが一流になるために

積極的に「身体を操る」必要があります。

ほとんどの人の運動能力が低下している現代において、ミュージシャンとして一流を目指すならば身体を鍛え、適切に操ることは必須だと私は考えます。「ドラムならドラムの練習」、「ボーカルなら歌の練習」することが、残念ながら必ずしも技術向上や音楽活動の成功につながらないのです。なぜなら、技術を養成する前に、土台である身体がメンテナンスされていないからです。それはまるで埃を被って錆びついてしまったサックスで練習に励むようなものです。ですから、しなやかでない身体で演奏しても、人を感動させるような音はだすことは難しいでしょう。

私達のボーカルレッスンでは、先述した身体と運動の歴史・知識・技術をしっかりふまえた上で「身体を操ることのできる」ボーカリストを養成し、「心」(アーティストとしての心構え)「技」(ボーカル技術)「体」(身体を鍛えること)、全てを高いレベルへと引き上げます。プログラムを通して、この3つ全てを磨き上げたとき、あなたは多くのファンに支持される、魅力あふれるボーカリストになっていただくために身体運動に最も重点を置いています。

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